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表2 ハーフタイム以上の女性就労率:1950−1995  (%)

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出所:SOU 1972:34,AKU 1996:1

 

表3 6歳児以下の幼児をもつ親の就労状況:1962−1995(%)

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出所:Hoem&Hoem,1996 p.6

 

た(表2、3)。この変化は、家族政策の男女平等という新たな課題の展開をもたらしていった。この発展の背景には、都市化、出生率の低下、平均寿命の伸長、家事の合理化、賃金水準の上昇、労働力需要の増加、女性の経済的自立要求などの一連の要因が作用したことが指摘される(Lindberg&Nordenmark,1980)。
女性就業率の増加は、すなわち共働き家族を家族パターンの一般的な形態とし、従来の伝統的な家族政策では対応しきれないニーズを生み出していった。たとえば、就学前児童の保育ならびに低学年児童の学童保育や有給育児休暇などである。これらのニーズに対応するため、家族政策は新しい展開を必要としていった。1970年の個別課税制度や、1974年の男女両方の親を対象とする有給育児休暇のための(両)親保険の導入などが、家族政策の最も重要な改革であった。男性の役割は、単なる家族の扶養責任者から、養育や介護労働の担い手としての積極的参加が求められていった。
従来とられていた総合課税方式は、夫婦に勤労所得がある場合、夫の収入に妻の収入を加算し、税額を計算、夫の税金分以上に増えた部分は、妻が支払うというものであった。しかし、この合計課税は男女平等の観点から批判を受け、税制改革に踏み切ったものであった。改革は、単に課税制度が変わったというだけでなく「世帯」から「個人」へという考え方の転換を意味するものであった。スウェーデンのすべての社会保険の給付は、個人の勤労所得に基礎をおくものであり、個別課税制度の改革が女性の労働市場ならびに社会への進出を促した背景をなすといわれるゆえんである。1986年に不労所得も個人課税となった。

 

 

 

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